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2024.12.15 | ニュース
外形標準課税の範囲拡大 | 税理士法人Stand by C

外形標準課税の範囲拡大

令和6年度改正で外形標準課税の見直しが行われましたので、改正内容について確認していきます。

改正の概要
改正1
前事業年度に外形標準課税の対象であった法人であって、当該事業年度に資本金1億円以下となったとしても資本金と資本剰余金の合計額が10億円を超える場合は、
引き続き外形標準課税の適用対象となります。
改正2
令和8年4月1日以降開始事業年度から、払込資本の額(資本金と資本剰余金の合計額)が50億円を超える親法人の100%子法人等のうち、
資本金が1億円以下で、払込資本の額が2億円超の法人が新たに外形標準課税の対象に加わります。

改正の趣旨
外形標準課税は、資本金の額により税制が決まるため、大手企業でも資本金を1億円以下に減資することで外形標準課税の対象外となる
事例が相次いでいるという指摘がなされていました。
そのため、減資をする大企業や、大企業の子会社に対して外形標準課税の対象範囲を拡大する措置がとられました。

適用時期
上記の改正は、令和8年4月1日(2026年4月1日)に施行し、同日以後に開始する事業年度から適用されますが、
以下の経過措置も同時に開始されます。これにより外形標準課税適用による事業税の急激な負担増を抑え、3年間で徐々に増やす効果があります。

経過措置
新たに外形標準課税の対象となる法人について、外形標準課税の対象となったことにより従来の課税方式で計算した税額を超えることとなる額のうち、次に定める額を、法人事業税額から控除する措置が講じられます。
・令和8年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する事業年度

・令和9年4月1日から令和10年3月31日までの間に開始する事業年度

改正に対する対応
上記改正に対する課税逃れを防止するため以下の「配当加算措置」も規定されています。
配当加算措置の内容
資本剰余金から配当を行うことにより資本金等の額の減額を行い外形標準課税逃れを防止するための取り決めが「配当加算措置」です。
令和6年3月30日以後に100%子法人が親法人に対して資本剰余金の配当を行った場合でも、配当で減少した資本剰余金の額を加算して、資本金+資本剰余金の合計が2億円超かどうかの判定を行う必要があります。
分割型分割は会社法上は分社型分割と剰余金の配当の組み合わせと位置付けれられているため、分割型分割により減少した払込資本の額も配当加算措置の対象に含まれます。
ただし、「100%子法人等が自己株式を取得して償却するケース」や「100%子法人等のその他の資本剰余金を欠損填補に充てるケース」については上記配当加算措置の対象外となりますので、配当加算措置の適用対象かどうかの判断には十分注意する必要があります。